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 沖縄の日本復帰から50年を迎えた2022年に上演された、1本の演劇がある。復帰前の沖縄で実際に起きた事件と、現代日本を交差させた「ライカムで待っとく」。沖縄在住の劇作家・兼島拓也さん(35)が書いた。かつて沖縄本島中部に置かれていた琉球米軍司令部(Ryukyu Command headquarters)の略で、今は地名としてショッピングモールの通称にもなっている「ライカム」。沖縄の戦後史を映す名前を冠したこの物語に、「常に揺らいでいる自分」を織り込んだ。5月に始まった再演のツアーは6月23日、沖縄戦の戦没者を悼む「沖縄慰霊の日」に那覇市で千秋楽を迎える。思いを聞いた。

兼島拓也さん

舞台「ライカムで待っとく」 復帰前の事件追ったノンフィクション元に

 実際の事件とは1964年、沖縄県宜野湾市で、米兵2人が何者かと乱闘し1人が死亡、1人がケガを負ったもの。地元の若者4人が傷害致死罪などで米国民政府裁判所に起訴され、陪審裁判で全員無罪を主張した。米国人中心の陪審員の評議は彼らに不利な形勢だったが、最終的に傷害致死罪では無罪、傷害罪で有罪の評決が出た。判決では3人に実刑が下った。

 裁判の陪審員の一人、故伊佐千尋さんが事件を追ったノンフィクション「逆転」を元にした創作をと、神奈川県立のKAAT神奈川芸術劇場に依頼された。取材もして、書き上げたのがこの戯曲だ。

 本を読んで強く感じたのは、「当時の若者たちと僕自身、押しつけられているものは、あまり変わっていないのじゃないか」ということ。「例えば、日米地位協定によって、米兵が何か事件を起こしても『なかった』ことにされる。僕が生まれてから今まで、何回も見聞きしてきたことです」

写真・図版
「ライカムで待っとく」=引地信彦氏撮影

 もう一つ。当時の人たちの間…

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